【医療事務でのAI活用】申し送りの改善で診療報酬算定効率化!

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申し送りの重要性

医療事務の「申し送り」は、表面的には現場オペレーションの一部に見えます。しかし実態は、診療報酬の確実な算定や人件費に直結する、経営層が無視できない領域です。

私は、6年前に明石夜間休日応急診療所で勤務していた際、カルテ入力のミスや住所集計のやり直し、返金対応などで日常的に30分以上の業務ロスが発生していました。

スタッフ全体で換算すると、年間数百時間分の人件費が浪費されていたことになります。
こうした小さな非効率の積み重ねが、更なるミスの発生、モチベーションの低下、人件費の増加など大きな影響を及ぼします。

経営にも悪影響?

現場を振り返ると、申し送りには以下の課題が見られます。

  • 情報が紙や口頭、電子カルテに分散している → 転記ミスや入力漏れに繋がる
  • 申し送りの表現が担当者レベルに依存 → 情報の精度のブレが大きい
  • 電子カルテに検索性が低い文言が追加 → 効率がさらに悪くなる

これらは単なる現場の不便にとどまらず、負のスパイラルを生み出す要因と言ってもいいでしょう。

診療報酬の取りこぼし

これらの問題を人力でフォローしようとすると、経営レベルでの悪影響が発生する可能性があります。

  • 二重入力や確認作業の増加 → 人件費が増える
  • 情報伝達の漏れ → 診療報酬加算の取りこぼしが起こる
  • 作業負担の増加 → 職員の離職リスクにつながる

特に診療報酬の取りこぼしは、経営に直結します。

関係する診療報酬の例としては以下のようなものがあります。

  • 再診料:正確な患者情報共有がなければ算定漏れが発生。
  • 外来管理加算:情報不備により算定要件を満たせず取りこぼし発生。
  • 特定疾患療養管理料:病名や服薬状況の申し送り漏れで算定不可に。

これらを1件でも失うことは、大きな減収につながります。

AIを用いた課題解決!実際に試してみる

例えばChatGPTを使用し、申し送り文をデータベース化すればこれらの課題を解決できると考えられます。

 ChatGPTで申し送り文をデータベース化!

  • 以下の情報をダミーデータで作成してみました。

    • 基本情報(氏名・年齢・性別・病名)
    • 当日の対応(行った検査・必要な薬・会計・診療補助)
    • 特記事項(診療報酬関連情報)
    • 優先度(至急/注意/通常)
ダミーデータ例※このあとでも再掲します

     

例として以下のようなワークフローを想定します。

  • 担当者が箇条書きを入力
    → ChatGPTに「上記をテンプレートに沿って整形」とプロンプトで指示します。
    → 数秒で申し送り文が生成されるので、それを保管します。(1つのファイル、もしくはストレージに保存)

この仕組みで担当者個人の主観やクセを排除し、診療報酬算定に必要な情報をチーム内で残せるようになります。

ChatGPTとGoogleDriveを連携させる

1. ブラウザでChatGPTを開き、「+」をクリックし「GoogleDriveから追加する」を選択する。
2. GoogleDriveが開くので、必要なファイルをクリックする。
3. これでChatGPTに必要なファイルが追加、表示されます。  

簡単ですね。
これでファイルに適した質問を行うと、ChatGPTから回答が得られます。

実際にGoogleドキュメントでファイルを作成して、ChatGPTに読み込ませる

では、実際にGoogleドキュメントでファイルを作成して、ChatGPTに質問してみましょう。
まず、申し送りダミーデータのサンプルを表形式で入力します。

先程のダミーデータをGoogleドキュメントに入力して、表を作成します。
そして、そのGoogleドキュメントのファイルをChatGPTで選択します。

ChatGPTに「ファイルを表示してください」と入力すると下の表が表示されました。

ダミーデータ例

「患者ID」から始まり、氏名・年齢性別・対応内容・病名・検査・薬・会計金額・診療報酬関連・優先度まで、ひと目で状況がわかるように整理されています。

ChatGPTに患者さん(ダミーデータ)について質問してみる

 山田太郎さん(45歳男性)の病名は「急性咽頭炎」ですと表示されました。
さらに、山田太郎さんの全ての情報をChatGPTに聞いてみましょう。

山田太郎さんの全ての情報が表示されました。
聞き方次第で患者様の全ての情報が分かるので、申し送りだけでなく、医師や看護師、医療事務員など関係者全体の業務効率が良くなります。

実際に使用した感想

実際に使用した感想ですが、「必要な情報が一画面でまとまっている安心感」がありました。これまで分散して管理していた病名や加算要件が、表の中に整理されることで、申し送りの確認もスムーズに進められそうだと感じました。

また、会計額と診療報酬の点数を並べて記録するようにすれば「医療事務としての算定の見落としチェック」にも役立つと実感しました。診療報酬の点数についてもファイルを読み込ませてしまえば良いですしね。

メリットと注意しておきたいポイント

GoogleDriveとAIを連携させることで、エンジニアなしに患者様のデータベースのようなものが作成できました。

なにより、日本語の指示でデータにアクセスでき、利用する担当者次第で様々なデータの取り出し方ができるというのはこれまでのシステムとも違った大きなメリットがあるように思います。もちろん、課題として挙がっていたものについても以下のような解消が期待できます。

医療事務作業のメリット

  • 診療報酬の取りこぼし防止:加算要件など残せるため、減収のリスクを抑えられる。
  • 人材定着に効果:申し送り作業が標準化されことでスタッフの負担軽減、離職リスク低下。
  • 人件費増加の抑制:過去の患者対応履歴をすぐに参照できるので、再診や加算要件の確認もスムーズになる。

注意すべきポイント

  • 情報セキュリティおよびコンプライアンス上の懸念
    外部AIサービスへの書き込みはセキュリティリスクが伴う。
    また個人情報、医療情報を海外のサービスに書き込むのはコンプライアンス上の問題がある。
  • 運用ルールの整備
    ワークフローに大きな変革が伴うため、導入時に運用ルールを明確にしておくことが重要になる。

導入に不安のある方は是非ご相談ください

医療事務の「申し送り」は、単なる情報共有ではなく、医療機関の信頼性と収益を支える重要な業務です。
ChatGPTとGoogle Driveを活用することで、情報の抜け・漏れや算定ミスを防ぎつつ、効率的な申し送り体制を構築できそうです。

しかしそのまま導入するとなると、情報漏洩のリスクや運用の懸念があります。

そんなときは日本語に強い国産AIをプライベートなサーバーに導入するといったことで解消できる可能性があります。もし「自院の業務に合わせた仕組みを導入したい」という方は、ぜひお問い合わせください。

現場の課題に即したソリューションをご提案させていただきます。

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この記事を書いた人

社会福祉に関する資格や医療事務の資格を持ち、応急診療所などでの勤務経験があります。
当メディアでは医療事務としての目線で記事を作成、ライター活動をしています。

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